2012年7月17日火曜日

What is Global Person?





『秋入学と人材育成を考える』シンポジウム
とやらに参加してきた。

秋入学のハナシよりも人材育成を考える
パネルディスカッションの中身が興味深かったので記しときます。

以下、パネルディスカッション参加者。

古川元久氏:国家戦略担当内閣府特命担当大臣
・葛西敬之氏:東海旅客鉄道株式会社代表取締役会長
・小島順彦氏:三菱商事株式会社取締役会長
・清水孝雄氏:東京大学理事副学長
・早坂礼子氏:産経新聞東京編集局経済本部編集委員

名前を見るだけでもそうそうたる面子
がそろったなという感じでしたが。

各人。
産官学を代表する方々で。
中身も充実してました。


古川氏曰く。
今までは正解があるものを覚える教育をしていた。
いま求められているのは正解がない問いにたいしてどう正解を導くか
小学校・中学校の時代から答えのない中でどう考えるか。

大学教育/企業の採用そのものを考え直す必要がある。と。


いくつか印象的なお話を。


【まず。グローバル化が進む世の中で日本人に必要な要素って?】

以下3つの大事なポイントがあると。

①外向き(積極進取)の気性
→独立自尊・ルールを創る・自己評価する


『実学』と『人間学』
→教室では教えられない人間交流・読書・自然との交流

特に小学校からお受験体制におかれ、
中高一貫校で育つという典型的(?)な日本の教育環境では、
準備に時間を取られすぎていて実学どころではない。とのこと。

小学校~中学校の間に人間学の種がまかれているので
初中等教育期に十分な時間を割くべきだと強くおっしゃっていた。

小さい時からの読書、できるだけ子供に自由な時間を与えてあげること。
特に教室の中では体得できないことに時間を割くべきであるとのこと。

また、「人につくし社会につくし国に尽くす」ということを
若いうちに心の中に育んでおくことは非常に重要であるとされていた。


③異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティ

→多様な価値観を十分理解し、一方では自国の文化・歴史を理解し
話せる教養教育・自己の確立。


自分のビジネス以外(歴史・文化・教養など全世界共通のベース)
では話題がないというのでは一緒にいて意味のある人間として認識されない。



これは小島さんのいう
「国際的なステージでも自分の言葉で毅然として議論ができること」

にもつながるのだが、何はともあれ。
「自分の考えていることをしゃべるということが一番大事」。
自分の考えていることをとにかく話すことが英語なんだとおっしゃっていた。


事実、アメリカに転勤していた時は
部下がハーバード・スタンフォードという超優秀な人材だったとか。
上がってくるレポートに対してイチイチ細かく注文をつけたことで
「この人は自分の意見を言う人なんだ」と認識されていたとのこと。
自分の意見をしっかり話すことが一番重要だと力説していた。

ダボス会議では
(毎年議長にとってのテーマは話しすぎるインド人にいかにしゃべらせないか、
いかにしゃべらない日本人にしゃべらせるか)
日本人の小島さんが質問していること自体が珍しがられたとのこと。

「自分の意見をもつ×しっかりと主張する」
ことを若いうちから鍛えておいてほしいとのことであった。

うまく話せることよりも、自分の中身(コンテンツ)を伝えられるか
の方がよっぽど重要であるということであった。


【じゃあ。グローバル人材を育てるために何が必要か?】

小島さん曰く。今の日本社会では
●どうしたら受験に成功するか?
●どうすれば就職活動に成功するか?
●どうすれば失敗なく成功するか?
そんなことを考えている人ばかりだと。

大学が就職予備校みたいになってきている。

そんななかで。

そもそも小中高の教育現場に経験豊かな社会人が
入っていくのはどうなのだろうか。
という小島さんのアイデアは非常にフレッシュなものだった。
60を過ぎた方々に自分の経験を生かして頂くための場所を提供するって話。

たとえば土曜日を社会人講演の場とする。とか。
小中高校時代から「思う・考える」機会が増える。生徒の目が変わる。
社会が世界がどうなってるか、両親のためにもなるやろうなと。

大学生にとっても展開可能なお話で。
Rate Specialization.(専門家になんのは後でいいんじゃねーかという考え方)
にとっても後押しになりそうなアイデアだった。

こんな意見をお話される三菱商事では当然のごとく、

「グローバル研修制度」
(入社後8年目までの社員に半年~1年間途上国に転勤するという仕組み)

が整ってる。

たくましい若手社員が育つように
グローバルビジネスを肌で体感してもらおう!というお考えだ。
洒落とる♪

初等教育の重要性という意味では。
葛西さんは、子供たちが都会化し、
人間関係が希薄化していることを危惧し海陽学園を創設したとのこと。

いま失われている「経験」を取り戻す仕組み。
人間が接触しながらお互いにどういう気持ちをもっているか。
世の中に出たときに物怖じしない/位負けしない人間を育成しているのだそうだ。


【秋入学と就職活動について少しだけ】

とはいえ。企業の皆さんは。

秋入学を東大が始めるといったところで
いきなり日本の国際競争力が高まるわけじゃないけど
今後の教育システム/社会システム/日本の人材強化を変えていく
きっかけにはなるんじゃない?ぐらいのお考えだった。

入学/資格試験のあり方。
修業年限の柔軟化。
教育の充実。
研究面のパフォーマンス。
春季の一括採用など。
今まで普通だったことを考え直す非常にいい機会であると。

学校がこういうことを考えていると聞いて
産・官もしっかりと議論すべき。
とは三菱商事の小島さん。

これからは特に国籍を超えた議論ができるだけの精神的なたくましさが必要で。
大学だろうと修士だろうと、その基礎さえ身に付けていれば良いんだと。

大学卒業後いきなし即戦力なんて求めていないと。

そんなことで悩むよりも学生自身は
大学入学前のGT(ギャップターム)をいかに使うかを悩み。

教育機関も企業も若い世代が海外とコミュニケーションしやすい
環境をいかに創っていくかを悩むべきだと。


・・・ということで産官学+自分も自己改革にいそしむべし。

桃李言わざれども下自ずから蹊を成す。
でございますな。








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